お客様事例04

株式会社タムラ製作所

倉庫管理のアウトソース化に伴い、物流導線に適した倉庫へ段階的に移管。物流コストとCO2排出量の大幅な削減を実現

株式会社タムラ製作所様とグループ会社の株式会社光波様は、トランス、リアクタを始めとする各種電子部品やLED関連製品、電子化学実装材料及び装置、情報機器などさまざまな製品を手掛けるメーカーです。国内外の生産工場で生産された電子部品をグローバルに供給しています。同社物流子会社である株式会社タムラ流通センター様が2020年4月に吸収合併されることに伴い、国内メイン倉庫のアウトソース化による物流改革を検討されていました。

選定前の課題

01

物流子会社の吸収合併に伴い、グループ内で運営していた国内物流機能をアウトソースする必要があった

02

自社とグループ会社、製品群も納入先も全く異なる双方にとってメリットのある物流の最適化を図りたい

選定理由

01

タムラ製作所のERPシステムとのEDI連携を通じたペーパーレス化やラベル類の自動出力化。業務効率の向上とともに、属人化の解消につながった

02

タムラ製作所と子会社である光波の入庫元、納入先分布を分析し、物流動線およびコストの最適解として横浜倉庫への移管を提案してくれた

03

マテハン機器の導入による保管効率の向上。実際、約1,000坪かつ高層ラックを活用していた保管スペースを、在庫量を維持したまま約600坪(移管時)に圧縮することに成功

04

大規模倉庫の移管をスムーズに行うために、段階的なスタートとして既存倉庫での構内請負を提案。従来の知見・ノウハウを備えた人員を活用し、アウトソース運用を確立して横浜の新倉庫へ最終移管を実施

背景

国内マザー倉庫と物流機能のアウトソーシング

タムラ製作所様は、自動車や電子機器など身近な製品から製造現場や再生可能エネルギー分野、宇宙分野まで、さまざまな産業を支えている電子部品メーカーです。また、グループ会社の光波様は、LEDを中核にその応用製品のエンジニアリングに強みを持っています。両社の国内でのマザー倉庫機能は、埼玉県狭山市に拠点を構える同グループのタムラ流通センター様が担っていました。同社が2020年4月にタムラ製作所様に吸収合併されることに伴い、倉庫・運送などの物流機能のアウトソースを検討されていました。アルプス物流は、タムラ流通センター様と20年ものお付き合いがありました。タムラ流通センター様からの集荷配送といった運送業務に加え、西日本のサテライト倉庫をご提供しています。そうした縁からお声がけいただき、複数社の提案の中からアルプス物流を選定いただきました。
アルプス物流がめざしたのは、従来の物流機能を代替するだけでなく、タムラ製作所様と光波様にとって最適な物流改革を実現することです。そのための柱は、2つ。タムラ製作所様のERPシステムとアルプス物流の倉庫システムACCSとの連携、そして物流導線を考慮した東京港近辺への倉庫ロケーションの選定です。それらをトラブルなく実現するために、既存のお客様倉庫にて構内作業を請け負う期間を設け、ノウハウや経験を吸収して運用システムを確立した後に移管を実施。1,000坪にもおよぶ大規模倉庫の機能を垂直立ち上げで行いました。さらに、移設前に比べてCO2排出量はトータルで28%減少することにも寄与。時代の要請とも言える環境負荷の軽減においても、お客様視点での物流改革をサポートしました。

会社も製品も生産地も納入先も異なる
複雑な物流機能に対応するマザー倉庫

会社も製品も生産地も納入先も異なる複雑な物流機能に対応するマザー倉庫 会社も製品も生産地も納入先も異なる複雑な物流機能に対応するマザー倉庫

解決策➀

<構内請負期間>倉庫運用を人ありきからデジタル化

提案時にご評価いただいた内容の一つが、タムラ製作所様のERPシステムとアルプス物流の独自情報システムACCSをEDI連携することでした。狭山倉庫内ではタムラ流通センター様がタムラ製作所様と光波様の異なる企業の製品を扱っていましたが、倉庫機能においてはグループ会社ならではの属人化された運用がベースにありました。その象徴が、納入先別担当制です。営業担当者が納入先別の各倉庫担当者に個別に依頼を行い、その都度、出荷指示書(S/I)の作成発行やラベル類を発行・手書き対応していました。アルプス物流は、納入先別の担当者制から工程別担当制に変更し、営業担当者から倉庫担当への個別依頼を禁止しました。倉庫の状況とシステム内の情報をシームレスにつなぐEDI連携なら、必要なラベル類をACCSからシステムで発行でき、S/Iは出荷指示データに置き換えられます。ペーパーレス化や運用の自働化とともに、担当者に依存した倉庫運用の標準化を実現することで、業務効率の向上を推進したのです。

入庫・保管・出庫をシームレスにつなぐEDI連携

入庫・保管・出庫をシームレスにつなぐEDI連携 事例の詳細についてはお問い合わせください

解決策➁

<横浜倉庫へ移管>移管時からフル稼働に対応

アルプス物流は大規模倉庫を移管する際、構内請負期間を設けることをおすすめします。タムラ製作所様においても、そのメリットを大きく実感しました。それは、移管前に倉庫運用をアウトソーシングできる仕組みをしっかり構築できるからです。突然、大規模倉庫を引っ越しした場合、運用が安定するまで時間がかかることも少なくありません。場合によっては、そうしたトラブルが2~3ヵ月続くことも…。段階的に移管していく手法も想定されますが、タムラ製作所様は構内請負期間を設けたことにより、移管翌日から通常運営が可能となりました。
1,000坪相当の倉庫スペースを備えていた狭山倉庫に比べ、横浜倉庫の占有面積は600坪です。大幅な圧縮を実現できたのも、構内請負期間に理由があります。保管スペースをきめ細かに検証できたのです。狭山倉庫はフォークリフトを使って4・5段積みの高層ラック活用を行っていましたが、車両が通れるように通路の幅が広い特徴がありました。そこで、マテハン機器を導入することで、高さ方向ではなく、横にスライドする電動式高層ラックを導入。空きスペースを最小化して保管効率を高めました。こうしたスキームを横浜倉庫にも用いることで大幅な省スペースを実現しています。

段階を踏むことで、遠隔地への移管をノーリスクで実施

段階を踏むことで、遠隔地への移管をノーリスクで実施

解決策➂

28%ものCO2排出量の削減を実現

なぜ、アルプス物流は横浜への倉庫の移管を提案したのか。タムラ流通センター様の大規模倉庫は狭山事業所内に位置していましたが、タムラ製作所グループの主な生産は国内から海外工場へとシフトし輸入製品が大半を占めています。一方で、納入先は関東圏が多く、北関東も少なくないため、狭山というロケーションに地理的なメリットもありました。しかし、物流動線の視点で検証すると、狭山事業所に入庫された製品はアルプス物流の加須倉庫へ集荷され、混載ネットワークを活用して納入先へ配送されていました。そうした物流動線を分析・検証した上で、輸入貨物の入庫保管により適したロケーションを関東圏で探し、東京港に近い横浜倉庫を提案。また、狭山から横浜という移動は北関東の納入先を踏まえると距離的なロスがあるようにも思えるかもしれませんが、倉庫機能をアウトソースいただくことで集荷という工程が不要になります。アルプス物流の混載ネットワークを使うことは変わりありませんが、倉庫から納入先へダイレクトに配送できるようになったのは大きな違いです。東京港からのコンテナドレージ距離の大幅な短縮と混載ネットワークのより効率的な活用により、CO2排出量を約28%削減することにも成功しました。

物流動線の合理化にも環境対応にも貢献する倉庫移管

物流動線の合理化にも環境対応にも貢献する倉庫移管 事例の詳細についてはお問い合わせください

お客様の声

株式会社タムラ製作所

ロジスティクスグループご担当者様

環境対応は非常に重要なテーマ、
物流機能での削減に大きな気づきを得た

これほど大規模の倉庫を大きなトラブルなく移管し垂直立ち上げできたことを評価しています。埼玉県狭山市から神奈川県横浜市という地理的な変化に伴う疑問や懸念点もありましたが、そうした声に対しても根気強くしっかり対応してくれたと感じています。
多くの企業にとって環境対応は非常に重要なテーマです。私たちは製造メーカーとしてサステナビリティ貢献製品の拡充に努めるとともに、あらゆるシーンでCO2排出量の削減に取り組んでいます。そうした中で物流機能のCO2排出量削減に寄与してくれるスキームには大きな気づきを得ました。成果も出ているため、アルプス物流に倉庫機能を委託してよかったと実感しています。