お客様事例03

パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社

パナソニックグループ全体の膨大な資材調達。その複雑な商物流の一元化をめざし、独自の物流スキーム構築を支援

パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社のグローバル調達本部様(以下、略称のGPRD)は、エレクトロニクス分野から車載電装品、住宅分野まで、さまざまな事業を手掛けるパナソニックグループの調達効率を最大化する目的で設立された調達組織です。コスト最適化や調達業務の効率向上を目的に、調達業務の一元化と集中購買を推進しています。グローバル商物流のインフラの構築や集中購買・購買情報の集約をめざした調達改革を進める中で、その物流パートナー企業としてアルプス物流を選定しました。

選定前の課題

01

商流により約50か所に分散していた輸出入倉庫と国内在庫倉庫を統合した「集中倉庫」を実現したい

02

従来の物流スキームではなく、調達物流の特性に対応した新たなスキームを構築したい

03

物量データだけではなく、物流コストの見える化を実現したい

選定理由

01

アルプス物流の広範なネットワーク網と保有倉庫を使い、調達物流網の最適化を支援できる

02

販売物流ではなく、調達物流に特化した実績が豊富。なおかつ、半導体などの繊細な製品の取り扱いに慣れている

03

システム対応力などを駆使し、購買・契約・物流をGPRD様に一本化できる調達改革をサポートできる

04

輸入倉庫・国内在庫倉庫・輸出倉庫といった段階を経た「集中購買&集中倉庫」の実現への提案を評価した

背景

多機能化による
集中倉庫化の実現をめざして

パナソニック・グループは事業会社・事業部単位でそれぞれが中間商社や仕入先などと直接契約を結んでそれぞれに調達物流を構築し、多彩なものづくりを可能にしていました。そうした調達物流はものづくりに特化できる一方で、調達業務の分散や輸配送コストの増大化などと隣り合わせです。そこで、全社視点で商物流を再統合するために設立されたのが、GPRD様です。自らが商社のような役割で海外から部材を買い付けて必要な工場へ供給することや国内仕入先の部材管理を行う改革を進めていました。しかし、日本の製造業を代表するパナソニックグループは、数多くの関連会社があることをはじめ、国内だけで1,000社を超える仕入先や数多ある海外生産拠点、そこに輸出するための50か所の倉庫など、スケールが大きいからこそ一筋縄ではいかない状況がありました。さらに、GPRD様は輸入倉庫・輸出倉庫・国内在庫倉庫と機能ごとに分散している倉庫を集約する「多機能化による集中倉庫化」という理想を掲げています。各拠点の情報を集中・集約化して独自の物流スキームを構築することで、集中購買をひとつの集中倉庫で行うことをめざしています。そのためには、複雑な調達物流スキームそのものを大きく見直した調達改革が必要だとお考えになりました。
物流のプロとしてアルプス物流がご提案したのは、段階的に倉庫機能の集約を実現する、というプロジェクトです。今の物流スキームが担保しているビジネスへの影響を可能な限り小さくし、物流機能を明確にした上で「現実的な集約化」を進めていくというものでした。

多機能化による集中倉庫化を実現する、
理想の調達物流スキーム

多機能化による集中倉庫化を実現する、理想の調達物流スキーム

解決策➀

調達物流を一元管理する
「集中輸入倉庫」を新設

集中倉庫化の最初のステップは「集中輸入倉庫」の新設です。従来は、日本への輸入時はGPRD様の海外拠点からそれぞれの国内生産拠点近隣に設置された輸入倉庫へ、もしくは海外仕入先から直接国内生産拠点へ発送する流れでした。アルプス物流がご提案したのは、輸出入倉庫を国内東西2か所に集約し、輸入物流を一元管理するもの。つまり、点在していたストックポイント機能と仕入れ先によるVMI運用、在庫管理機能を統合する倉庫です。
その実現には、アルプス物流ならではの強みが活かされています。製品固有の「物流個性」を捉えた高度な倉庫運用を実現する倉庫運用システムACCSです。電子部品のような繊細な取扱いが求められる製品を適切に保管し、ミスなく正しい形での国内生産拠点への分割仕分けなどの流通加工を行い、倉庫作業の効率化と精度向上に貢献します。

海外からの調達部材

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解決策➁

「国内在庫倉庫」の集約と
機能の拡充

セカンドステップは「国内在庫倉庫の集約」です。GPRD様は海外の生産拠点が求める半導体部材を、国内で調達・購入して航空便にて輸出していましたが、その国内在庫拠点が2か所ありました。これを成田空港のアルプス物流倉庫に集約。結果、1,000坪あった倉庫スペースは約半分になり、保管効率を向上できました。それは単に倉庫を減らしたことだけが理由ではありません。アルプス物流の情報システムACCSをGPRD様の基幹システムとEDI連携させることで、省スペース化とともに緻密な倉庫運用を実現したのです。
たとえば、半導体のドライパックを開けて、リールやスティックなどを取り出し、生産計画に最適化した個数にリパックする「ピースピックでの管理」を可能に。従来のパレット棚ベースから中量棚ベースの保管へと変更し、スペースではなく部材と場所を紐づけた「フリーロケーション保管(形状別保管)」を実現しています。
さらに、出荷実績をWeb上で管理できるため、仕入先で発行・添付していた梱包明細書(2枚)を廃止。仕入れ先の作業負担はもちろん、ペーパーレス化によるCO2排出量の削減にも貢献しています。

倉庫面積の半減に貢献するフリーロケーション保管

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解決策➂

「集中輸出倉庫」の集約と
自動倉庫の導入

サードステップは、国内約50か所の輸出指定倉庫を特定の拠点に集約し、前述の「集中輸入倉庫」と「国内在庫倉庫」の機能も統合するというものです。従来、海外生産拠点向けの部材供給はGPRD様の指定する輸出倉庫に国内仕入先から直接納入し、梱包明細書や輸出用ケースマークの作成や貼付も各仕入先にて対応していました。そこで、全国からの集荷と海外への発送を踏まえ、輸出用部材の仕入先からの納入先をすべてアルプス物流に統一。アルプス物流が流通加工を行うことで仕入先やGPRD様の管理負担を軽減しました。仕入先からの貨物はアルプス物流の混載ネットワークを活用して共同集荷することでトラック運行台数を減らし、約24.5%ものCO2排出削減につながりました。
また、パナソニック様の先進技術を活用した電子部品に対応できるカートン自動倉庫を導入。GPRD様の基幹システムからEDI連携でアルプス物流の倉庫管理システムへ出荷指示を伝送すると、自動倉庫より出庫を自動化できるのです。貨物の入庫・出庫・保管のほか、検品・検量、検寸・ラベル貼付もすべて自動で対応できるため、約22名の省人化を達成。さらに、紙のピッキングリストが不要になり、ペーパーレス化にも貢献しています。
そして、多機能化による集中倉庫化の最終段階が「輸出手続き機能の追加」です。上述の「集中輸出倉庫」に輸出手続き機能を付加することで、通常のようにトラックなどで空港近郊のフォワーダー倉庫に運送することなく輸出を可能にしています。アルプス物流はこれからもGPRD様独自の調達物流スキームの深化をサポートし続けていきます。

50か所の輸出倉庫をアルプス物流に集約

50か所の輸出倉庫をアルプス物流に集約

同一倉庫保管による輸送レスおよびアルプス物流混載便での共同集荷により
トラック運行台数を削減し、CO2排出量削減に貢献

CO2削減量

▲1,116kg(▲24.5%)

2020年12月実績

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Environmental Effect

調達物流の合理化がもたらす環境効果

01

貨物の共同集荷・
配送によるトラック運行

消費燃料 & CO2排出量 削減率24.5%

02

EDI連携による
ペーパーレス化

納品書 削減率 100%

03

自動倉庫導入による
ペーパーレス化

ピンキングリスト 削減率 100%

お客様の声

パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社

グローバル調達本部ご担当者様

さまざまな要望・要求に対して
柔軟に対応してもらいました

特に評価しているのは、受発注システムを刷新し、アルプス物流との倉庫プロセス構築とデータのEDI化を推進できたことです。打ち合わせを重ねる中で私たちのさまざまな要望・要求に対して、柔軟かつ迅速にご対応いただき助かりました。
今回の調達改革によって、材料在庫と倉庫機能の集約化がある程度、実現できたと考えています。今後は調達ロジコストの見える化とその適正化、削減に取り組まなければなりません。また、市場の変化に応じた生産調整に「超柔軟」に対応できる材料供給体制の実現と輸送効率向上との両立も必要だと考えています。アルプス物流には物流パートナーとしてさまざまなご提案を継続していただけたらと思います。