小ロット多品種を取り扱う大規模な調達倉庫。倉庫のプロとして在庫精度を高め、生産活動に集中できる環境構築をサポート

1949年に電子顕微鏡の開発会社として発足以来、電子顕微鏡をはじめ、分析機器や医用機器などを設計・開発している日本電子株式会社様。中でも、電子顕微鏡は、光学顕微鏡では観察不可能な微小な構造を鮮明に観察でき、世界中の企業・研究機関、病院などの現場で活躍しています。中国・北米・欧州などからの受注生産が増えていたタイミングに、生産活動に集中するため、倉庫業務のアウトソーシングをご検討。そうした中で、製造ラインへの供給率を高められる物流パートナーとしてアルプス物流を選定いただきました。

選定前の課題

01

生産量増加に伴い工場の製造ライン拡張が進む中、工場内に空きスペースがなく、倉庫部門のアウトソースで製造ラインスペースの確保を検討していた

02

主軸商品が電子顕微鏡であり、小ロット多品種の在庫管理が必須。自社にて在庫管理を実施していたが、在庫精度をさらに高めたいと考えていた

03

製造ラインからの部品受注が日々大幅に変動するため、倉庫側でその変動への対応を図りたい

選定理由

01

アルプス物流の横浜営業所に調達倉庫を移管し、製造ラインの新設スペースを確保

02

小ロット多品種の在庫管理に優れたアルプス物流のWMS(ACCS)を使い、在庫精度を向上することに成功

03

システム改善を通じて、工場側の生産計画に基づきながら、日々2,000~6,000件の波動に耐えられる予定管理を実施することに成功

背景

急激な生産増加に対応できる
環境構築をめざして

日本電子様は、電子顕微鏡をはじめとするナノテク分野で世界トップレベルの先端装置を開発している理科学機器メーカーです。基礎研究から応用分野まで、多くの機関や企業の研究開発を支える装置をご提供しています。アルプス物流とのお取引のきっかけは、海外からの需要の増加に伴い、本社のある東京・昭島工場における製造ラインの増設でした。自社工場内に部品倉庫を保有し、一部派遣会社に委託する形で自社システムにて在庫管理を行っていましたが、製造ラインの拡張が進む中、工場内には空きスペースがないことなどから、工場内に部品倉庫を新設するか、在庫管理を含めた調達物流のアウトソーシングするかをご検討されていました。また、主軸製品である電子顕微鏡は数多くの部品からなる複雑な製品です。小ロット多品種の部品管理が求められる中、需要過多の状態で製造ラインからの部品受注が日々大幅に変動するという特徴がありましたが、倉庫側がその大幅な変動に対応しきれず、100%の部品供給が遵守しきれていないという課題も抱えていました。
物流のプロとしてアルプス物流がご提案したのは、日本電子様のご要望や特徴にマッチするシステム改善をベースにした調達物流です。何度も話し合い、運用後も時間をかけて課題を一つひとつ解決することで、結果として、在庫精度・出荷精度・作業効率を高められ、製造のさらなる高品質化をサポートできました。

在庫管理をアウトソーシングした背景

在庫管理をアウトソーシングした背景 在庫管理をアウトソーシングした背景

解決策➀

評価したのは、高精度の倉庫運用を
誰もが手軽に行えるシステム

多種多様な部品を大量に抱えているからこそ、その膨大な部品の取り扱い方法や管理方法を習得し、現状以上の精度で管理できるのかどうか。それが、日本電子様がアウトソース先に求める重要な要素でした。
アルプス物流としては、そうしたご要望にお応えできるのが、自社開発の独自倉庫運用システムACCSをベースにした運用管理だと確信していました。ACCSは多様かつ繊細な電子部品などを大量に扱いながら、その部品一つひとつに固有の物流個性を捉えた取り扱い方法や包装形態を指定し、各種情報端末などを使い、誰もが必要なタイミングで適切な管理を行える仕組みを構築しています。つまり、小ロット多品種の管理手法に適したシステムなのです。さらに、お客様の個性にあった運用を作り上げられる汎用性の高さも備えています。そこで、何度も当社の倉庫見学会を重ねることで、ACCSをベースとしたアルプス物流の高精度な運用が日本電子様の抱える課題を解決する最適な方法であることをお伝えしました。
実際、ご選定いただいた後は、すべての部品に対して当社が指定する物流個性を登録し、基幹システムとのEDI連携をはじめとする、さまざまなシステムチェック工程を駆使することで、日本電子様のご指定要領を100%の精度で対応・供給することを実現しています。もちろん、そこには日本電子様のご協力も少なくありません。昭島工場内に実習という形で入り込み、調査を実施した結果を基に、いかに効率的に管理するかという運用案・システム設計案を日本電子様とミーティングを重ね入念に作り上げることで、大規模倉庫の立ち上げを成功させられたと自負しています。また、移管前に課題だと考えられていた「在庫精度」に関しても、半年間という時間をかけて課題を解決することで、工場側の生産計画に基づき日々2,000~6,000件の波動に対応した予定管理を実施。「納品遅延0%」を保った部品供給を実現しました。また、ACCSにより棚管理に縛られることのないフリーロケーション管理が行えるため、省スペースでの保管が可能になり、実倉庫面積も約30%以上削減できました。しかし、こうした成果を導くことができたのは、単にアルプス物流をご選定いただくだけでは十分ではなかったことも確かです。

小ロット多品種対応を可能にした調達倉庫フロー

小ロット多品種対応を可能にした調達倉庫フロー
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解決策➁

新たな課題に向き合う、
運用後も続く柔軟な対応

物流パートナーとしての役目は選定されたら終わりではありません。むしろ運用後こそ、新たに見えてきた課題に向き合い、それをしっかり解決することで、より良い物流スキームの構築を図れる。アルプス物流はそう考えます。日本電子様の場合は、昭島工場近隣に協力会社が隣接していることから、部材倉庫をアルプス物流の横浜へ移管させることで、距離が遠くなってしまい、各協力会社から横浜倉庫への部品配送対応ができない、あるいは値上要請されるという事態があらかじめ予想されていました。そのため、横浜への配送対応ができない協力会社は部品の供給場所を昭島工場のままにし、納品日翌日に横浜倉庫へ転送させる形で運用をスタートしたのです。しかし、その結果、昭島工場への部品供給リードタイムが伸びてしまい、製造ラインの必要なタイミングで部品供給が間に合わないという問題が発生…。この問題を解決するためにとった方法が「アルプス物流 昭島出張所」の設置です。
当初はアルプス物流の役割として横浜倉庫のみの管理でしたが、昭島工場の在庫を把握することをご提案しました。同工場内に入り込み、部品の受け入れ業務やアルプス物流のシステムACCSを利用した「在庫計上処理」を行うことで、リードタイムを短縮できると考えたのです。このプランをご採用いただき、工場内の部材管理をスタートさせることで製造ラインへの部材供給遅延を解決させたのです。こうして、お客様からの受注に対し、倉庫在庫の中から部品を納期通りに製造ラインへ供給できた割合である出荷供給率は90%から100%へ改善。日本電子様のご要望や特徴にマッチした物流スキーム改善を進めることで、在庫精度・出荷精度・作業効率を高めることに成功したのです。

付加価値向上を可能にした調達物流フロー

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解決策➂

製造ラインへのキット納品、
そしてシャトル便

日本電子様とのお取引は、アルプス物流の横浜営業所を使った部品倉庫としての機能や昭島工場に入り込んだ工場側での部品受け入れ業務に留まりません。ご選定いただいてから7年間、調達サプライチェーン全般をアルプス物流にてサポートしています。
たとえば、近隣協力会社への集荷・配達です。定時定ルートのミルクランと呼ばれる、1台のトラックで一部の調達先にも巡回する日本電子様専用の定期便で昭島工場、協力会社、アルプス物流の横浜営業所へ部品輸送を行っています。また、各製造ラインで必要な部材単位にまとめ、工場内で配膳部隊へ引き渡すまでの業務をアルプス物流にて実施。生産活動に集中できるように、小ロット多品種の部材物流でキット化を望むお客様は少なくありません。日本電子様も同様のニーズを抱えていました。さらに、日本電子様は各種電子顕微鏡や医用機器製品の主力工場として山形県に製造拠点を有しています。今では、昭島工場とその拠点間のシャトル便での輸送もアルプス物流が担当しています。
サプライチェーンをトータルにサポートすることで、アルプス物流はそれぞれの課題を把握し、一元管理することができます。それによって、物流パートナーとして磨いてきたソリューションを駆使し、ムダのない物流サービスを実現できるのです。

調達サプライチェーン全体をサポートする物流フロー

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お客様の声

日本電子株式会社

サプライチェーンセンター
工場管理本部 | SCC統括サポート部

物流グループ/グループ長
田母神 聖様

物流グループ/第2チームリーダー
堀江 博代様

アルプス物流の独自システムには驚きました

アルプス物流を選定した最大の理由は、優れた情報システム力です。特に、誰もが同じレベルで高いレベルの運用を実現できる仕組みに驚きました。個々の部材固有の特徴を物流個性として捉え、独自システムのACCSに登録すると、データ収集端末装置などで確認した際に、最適な取り扱い方法や作業内容が表示される、というものです。在庫精度も高まりましたし、安心してお任せしています。
また、最初の選定から7年以上も関係が続いていることからもわかるように、柔軟な対応もアルプス物流の強みだと思います。今後もいろいろな課題が出てきたときに、一番最初に相談できて、最適なソリューションを提示してもらえる関係だと助かります。